ローポリモデルと手描きテクスチャを題材に、経験者はどんなことを考えながら作業しているのか、実際のお仕事の流れを想定して、思考も細かく言語化していきたいと思います。
目次
- 1 風車モデル作成の依頼を頂きました。アートと仕様は下記の通りです。
- 2 アートと仕様を確認しながら、自問自答して設計を考えます。
- 3 「ポリゴン数1000?アルファは使えるのかな?ああ、使えるのか。ということは羽根の細かい部分は絶対アルファだな。」
- 4 「アルファの場合は、両面描画と片面描画でポリゴン数変わるけど、どっち?ああ、片面なのね。ということはアルファで二枚重ねる感じかな。」
- 5 「テクスチャは、512=1枚で、動的なライトなしってことは、陰影とハイライトはテクスチャに描きこまないとね。」
- 6 「頂点カラーも使えるのか、、、陰影はテクスチャに描きこむか、頂点カラーで表現するか迷うなぁ、、、」
- 7 「UVを重ねて、使いまわして表現出来るとこ多そうだな。」
- 8 「クオリティを上げるために、設置を描きたいけどテクスチャに描くと使いまわし出来なくなるし、頂点カラーで表現すると頂点数増えそうだな。うーん。設計次第だな。」
風車モデル作成の依頼を頂きました。アートと仕様は下記の通りです。
■アート
■仕様
・ポリゴン数:1000以内(三角)
・テクスチャ:512×512=1枚
・カラー(ディフューズ)マップのみ アルファ使用可
・マテリアル:ランバート
・ライト :無し ※フラットライトの見た目で確認して下さい。
・ポリゴン描画:片面
・その他 :頂点カラー使用可
・テイスト :○○のような手描きテクスチャ
・テクセル密度:1m×1m=32pix×32pix
・工数 :3.5人日
アートと仕様を確認しながら、自問自答して設計を考えます。
「ポリゴン数1000?アルファは使えるのかな?ああ、使えるのか。ということは羽根の細かい部分は絶対アルファだな。」
「アルファの場合は、両面描画と片面描画でポリゴン数変わるけど、どっちかな?ああ、片面か。ということはアルファで二枚重ねる感じかな。」
「テクスチャは、512=1枚で、動的なライトなしってことは、陰影とハイライトはテクスチャに描きこまないとね。」
「頂点カラーも使えるのか、、、陰影はテクスチャに描きこむか、頂点カラーで表現するか迷うなぁ、、、」
「UVを重ねて、使いまわして表現出来るとこ多そうだな。」
「クオリティを上げるために、設置を描きたいけどテクスチャに描くと使いまわし出来なくなるし、頂点カラーで表現すると頂点数増えそうだな。うーん。設計次第だな。」
「よし!モデリングしながら設計考えようっと。」
こんな感じで、アートと仕様を確認しながら設計をイメージしていきます。ゲームデータは設計が大切なので、設計を考えないで作り始めることはないです。
思考をもう少し丁寧に説明していきます。
「ポリゴン数1000?アルファは使えるのかな?ああ、使えるのか。ということは羽根の細かい部分は絶対アルファだな。」
羽根を全てモデルで作成すると、ポリゴン数の1000には収まらなそうなので、細かい羽根の部分は、アルファを使用した板ポリゴンで表現出来るかを考えます。アートとポリゴン数を見た段階で、アルファの使用可否は即座に確認します。
仮でテクスチャを貼ってみて、この設計で大丈夫かどうかを確認したりします。
「アルファの場合は、両面描画と片面描画でポリゴン数変わるけど、どっち?ああ、片面なのね。ということはアルファで二枚重ねる感じかな。」
片面描画の場合は裏面は表示されないので、板のアルファを使用する場合に、板ポリゴンを二枚重ねて作成することをイメージします。
ポリゴンのチラつきが怖いので、全く同じ座標にしないで、少し隙間を空けることが多いです。
「テクスチャは、512=1枚で、動的なライトなしってことは、陰影とハイライトはテクスチャに描きこまないとね。」
テクスチャは512×512=1枚で、動的なライトなしとは、実機上で背景で使用可能なライトはないことになるので、全てをデフューズテクスチャで表現することを認識します。
ちなみに、ライトなしの設定は、ビューの上にある ライティング → フラットライトを使用 でライトなしの見た目を確認できます。
「頂点カラーも使えるのか、、、陰影はテクスチャに描きこむか、頂点カラーで表現するか迷うなぁ、、、」
接地の影などをテクスチャで表現するか、頂点カラーで表現するかの選択肢があるので、どの設計が最も美しい設計か考えます。ただ、頂点カラーはあくまで頂点に色をつけているので、色味、幅、調整のしやすさ、の点でテクスチャに影を描くよりもデメリットがあります。ただ、影を描いてしまうと、テクスチャの使いまわしが出来なくなり512の中に収まらなくなるので、設計が定まっていない段階だと判断できないので迷います。
「UVを重ねて、使いまわして表現出来るとこ多そうだな。」
ゲーム屋さんあるあるですが、アートを見た瞬間にどこを使いまわせそうかイメージするクセがあります。なぜならゲームデータは必ず容量のの問題があるので、最も軽いデータを無意識に考えちゃいます。アートを見た瞬間に「UVを重ねられそう」な部分をイメージします。
上記は一部です。「一個作ってコピペでいけそう」と考えてます。
「クオリティを上げるために、設置を描きたいけどテクスチャに描くと使いまわし出来なくなるし、頂点カラーで表現すると頂点数増えそうだな。うーん。設計次第だな。」
クオリティを上げるために、物と物との接地に影を描きたいけど、それをするとUVを重ねられない部分が出てきますし、UVを重ねて頂点カラーで接地の影を表現すると、その分頂点が必要になってくるので、どっちの選択が最も適切かは設計次第って考えです。
例えば石積みの部分だと、ドアがなければ全て同じUVでいけそうですが、ドアとの接地の影をテクスチャに描きたいってなると、UVを分ける必要があります。逆にUVを重ねて、接地の影を頂点カラーで表現する場合、その為に頂点を足さないといけないので、ポリゴン数が1000しかないない中で、その設計はどうなんだろう?と考えてたりします。最も適切な設計は、イメージだけでは確定しないので、作りながら設計を詰めよう!となります。
アートと仕様を確認してから、ここまでの工程でだいだい15分かからないくらいです。早い人だと5分くらいだと思います。アートと仕様を確認しながら設計を考える作業はプロだと毎回発生します。次回は、実際に作業しながら設計を考える部分を記事にしようと思います!