どうも、初めまして。
モデリングチームキャラクター班のユサです。
今回がキャラクター班の初投稿ということで過去に制作した3Dモデルを紹介しつつローポリキャラモデリングで意識しているポイントを紹介していきたいと思います。
まずはこちら。
大体三年前くらいに制作したモデルです。
当時はまだ COYOTE 3DCG STUDIO という名前はありませんでしたが、
3D制作専門部署以外の他部署も交えてスタジオのマスコットキャラクターを作ろう!とイベント的に社内コンペを行ったことがありました。
各部署からキャラクターデザインを募集し、選考で選ばれたキャラクター達を当スタジオのキャラクター班のスタッフが3Dモデル化しました。
それぞれのモデルを別の担当者がモデリングしていきましたが、
そのうちの1人、真ん中にいる女の子を私がモデリング担当しています。
社内資料やパンフレット等にちょこっと顔を出していたりもしますが中々利用される機会がなく、いつしかサーバーの奥底に…。
せっかく3D化までしたのに遊んであげないのは可哀そうだ!
と思ったのでここぞとばかりに記事に登場させてみました。
やはりキャラは動かしてなんぼですからね!
仕様はざっとこんな感じです。
使用用途は厳密に定めていませんでしたが、スマホ向けゲーム想定のローポリモデルという仕様を仮想で設定しました。
上限が決まってないのでこれでもけっこう贅沢していますね。
ローポリ好きの私としては制限がある方がダンゼン燃えます!
では、そろそろ始めていきましょう。
1.まずはデザイン画から
実制作において必ずしも三面図が用意されているとは限らず、正面背面 + 部分的な補足ということも結構多いですがこの時はモデル化するにあたってしっかり三面図を用意してもらいました。
優先度としては正面>背面>側面の順番で意識しています。
正面背面はもちろん必要ですが、側面に関してはイラストは2D表現的な嘘があったりするため3Dにした時に整合性がとれていない場合もあります。
なので正面背面のイメージで制作していきながら補足的に側面のイメージを拾うという感じでモデリングしています。
今回の場合は前髪ともみ上げ付近に違和感があるので側面図より線画の怒り顔のイメージ優先度をあげました。
加えて今回は表情をテクスチャで表現している関係上、作りが平面顔になるのでも側面もみ上げ付近は髪の毛で隠したいという意思も働きましたが…。
デザインのポイント
この子は全体的にシンプルなデザインですが、
前髪や毛先のボリュームに加え特徴的なまつ毛がチャームポイントのキャラです。
ローポリですと毛先の細かいディテールは再現しきれないので大きな塊としてまとめていきながらも印象的な前髪やサイドのウェーブ感を再現し存在感のあるモデリングを目指していきました。
2.顔のモデリング
今回顔をモデリングしていく際にまず、
デザイン画の顔を仮のテクスチャとして利用することにしました。
画像のようにデザイン画を正方形のテクスチャとしてプレーンに張り付け、
それをZ軸方向でプレビューしながらマルチカットツールで輪郭にそって頂点を打っていき切り抜きます。
※この際、移動ツール>移動設定>UVを保持 にチェックを入れておくとテクスチャが歪まず頂点を調整できるので便利です。
切り抜けたら今度はX軸方向からプレビューしながら頂点をZ軸移動で横顔の輪郭を決めていきます。
大体輪郭が決まってきたら必要に応じて頂点数を増やしていきどんどん作りこみます。
こうすることで簡易的なテクスチャを貼った状態でモデリング出来るので顔のイメージが掴みやすくなると思います。
ただ、今回のようにしっかりしたデザイン画がないときは先に正面顔のテクスチャを描いてしまうこともあります。
テクスチャによる表情変化を予定している場合、
目元や口元はなるべく平面的に作ることで色々な表情を表現できます。
立体感が強いとモデルを回して見たときに歪みやすく、正面顔と印象が大きく異なってしまうことがあるので注意が必要です。
モデリングの際、キャラクターフィギュアなどの顔の作りを参考にするとわかりやすいかと思います!
また、鼻筋から目じりの角度がキツイと魚眼っぽくなるのでこちらも気を付けたいポイントです。
ただ実際には…
モデリングの際、正面や真横からのイメージで制作を進めていましたが、
実際3Dでは真正面からみられる機会も少ないと思うので、時にはパースビューでモデルを回しながら様々な角度で確認を行い調整していきます。
イラストなどでもよく見られる斜め45度くらいの角度からみた顔のイメージを大切にしています。
今回はSD体型のデザインなので頬をふっくらさせてかわいらしい感じをだしてみました。
3.髪のモデリング
髪のモデリング時も大体板ポリから始めています。
顔のモデリングの時と同じで初めはZ軸X軸での見た目を意識しながらデザイン画のイメージに合わせていく。
パースビューで360度回しながらだと印象合わせに時間がかかるので、まず一軸方向でシルエットを決めるように心がけています。
髪の流れができてきたら板ポリを複製して裏面を作ります。
中間の頂点を複数選択して法線方向で移動することで簡単に厚みの出来上がり。
あとは個別に頂点を調整して流れを整えます。
また、裏面を作成する際はシルエットに影響が出ない程度に頂点を削除していき少しでもポリゴン数を節約してよりシルエットに効果的な影響がでる部分に頂点を割り振りするように心がけています。
後頭部はこんな感じです。
ローポリといいつつも可能な限りは髪の流れに沿ったエッジ割りになるように心がけ、自然な立体感が出るようにモデリングしています。
襟足の部分は毛束をたくさん配置してボリュームを出す方法もありますが、そんな贅沢は許されないので画像のようにして間を持たせるようにしました。
ただ、テクスチャの描き込みが甘いですね…。描き方次第でもっと自然に見せることも可能なはずです!
4.ジョイント位置を意識したエッジの割り方
肘などの関節部分は外側のエッジは三本、内側は二本にしてあげればきれいに曲がります。
またジョイントを回転させた時にエッジ同士が重なるようにエッジを割るとめり込みが自然で綺麗に曲がります。
画像のように関節位置(ジョイント位置)にスフィアを用意してガイドにすると回転の軌道が見えて来ます。
最終的にウェイト次第で曲がり方を調整できますが、基本的な考え方として覚えておくと応用が効くと思います。
※膝の曲がり方も考え方は同じですね。
また曲がる内側にエッジを増やしても画像のように凹みが発生してしまいます。
ポリゴン数が少ないと少しの凹みがシルエットに大きな影響を与えてしまい人体として少し不自然に見えてしまいます。
ポリゴン数を削減した方が綺麗に動くとは…良いこと尽くめですね!
5.手のつくり方
手はこだわるとポリゴン数が増えやすい部位だと思います。
ただ頭部や体などの部位に比べれば小さい部位になるのでなるべくポリゴン数を減らしたい。
ここはこだわりたい気持ちをぐっと抑えて極力減らす方向で行きました。
特に指は円柱状なので六角形くらいで作りたくなりますが、
指の断面はそれほど丸くなく上面が平ら下面が丸い楕円形状になっているので五角形でシルエットを確保しました。テクスチャ次第で五角形でも十分柔らかく見えます!
また、ポリゴン数を削減してもシルエットが単調にならない様に指の節の部分でシルエットに変化を加えるようにしています。
関節の分割
指の関節のエッジ割りは外側二本でも十分いい感じに曲がってくれました。
当然もう一本足した方が綺麗に曲がりますね。
内側は一本でもいけますが、ウェイトが振り分けできずどうしても潰れてしまうのでもう一本エッジを割るべきでしたね(反省)
※基本は肘周りの作りで説明した通り外側三本、内側二本!
ただ、指をしっかり作るとどうしてもポリゴン数が増えてしまうのでもっとポリゴン削減したい!
という時は指の断面を四角型や親指以外を一体化したミトン型にするのも有効的です。
手や指の動きがそんなに目立たないなど、場面に応じて様々な手の作り方を使い分けるようにしています。
6.脚のシルエット
これはどの部位にも当てはまることですが、
はじめから一部のポリゴンを増やして作ってしまうとそこを基準として全体のポリゴン数が多くなってしまい、リダクションする戻りの作業が発生してしまいます。
なので、まずはアタリをとるようにシルエットのピーク位置に頂点を打っていき体全体のバランスを決めてしまいます。
そこから必要に応じて中割を増やしていき完成に持っていきましょう。
今回は脚の場合で見ていきます。
少ないポリゴン数でも真っすぐなつまらない形状にならないように意識して頂点位置を決めていきます。
特に膝付近~ふくらはぎのシルエットの変化が大きいのでピークの位置に頂点が来るよう置いていきます。
正面から見た時のふくらはぎ内側はくの字・外側は緩やかな曲線的な膨らみになるイメージで頂点を置いていき、更にふくらはぎとくるぶしの高さのずれも意識して頂点位置をずらしています。
横から見た際も膝下の段差感とふくらはぎの膨らみを出し脚のシルエットの切り替わりを作ります。
今回はウェイトで黄色のリングがズレるのを避けるため腿の部分と一体化しているので若干ポリゴン数が多くなっていますが、シンプルな脚であればもっと減らしても大丈夫です。
うーむ…しかしこう見返してみるとこのモデルではポリゴン感の主張を抑えるためか、全体的に控えめなシルエットになっている気がしますね。
もっとシルエットを誇張してもローポリらしさがあって可愛いと思います!
…ということで今回はここまで!
古いモデルなので反省点は多々ありましたが、人型モデリングをする上ではほとんどのモデルに共通する部位を中心にローポリモデリングで意識していることをご紹介して参りました。
もちろん今回の制作方法が絶対的な正解であるとは言えませんが、一つの考え方として参考になれば幸いです。
それではまた次回!
COYOTE 3DCG STUDIO
公式HP:https://3d.crdg.jp/
COYOTE 3DCG STUDIOはクリーク・アンド・リバー社が運営するゲーム専門3DCG制作集団です。
キャラモデル、背景モデル、3Dアニメーション、テクニカルアーティストによるツール開発などを得意としています。
新規立ち上げにおけるコンサルティングから量産制作まで幅広く対応可能な体制を保有しており、出向にも柔軟に対応しております。