今回は“ゲーム制作における権利関係”についてお話します。
ゲーム内の著作権について
近年のゲームタイトルは著作権について非常に厳しく取り扱われています。
ゲーム業界の過渡期では、デザイナーがこっそり隠し要素を入れるような大らかな文化がありましたが
現在は、バージョン管理ツール(P4Vなど)によって、誰がいつデータを更新したか追跡できる環境が一般的です。
また、ゲームの開発規模拡大に伴って意匠・権利物にまつわるリスクが跳ね上がる事から
こっそり変な要素を実装するのはハードルが高くなっています。(個人的にはちょっと残念ですが・・・)
以下、ゲーム制作で起こり得る問題の具体例をいくつかピックアップしました。
① 商用素材の利用 (ロゴ)
プロジェクト内で作成したアイロンやロゴについては、
既存の権利物、版権、意匠を侵害しないか、社内の法務担当によるリーガルチェック等を経て使用可否が判断されます。
例:
① 特定のブランドロゴと似ている → ② 訴訟されるリスクがある → ③ デザイン変更 → ④ 再チェック
という流れです。
また、ロゴとテキストが合わさった意匠の場合、
文字のみ、ロゴのみを部分的に分解使用すると権利物の利用条件に違反するケースがあるので注意が必要です。

私の経験上、テクスチャのUVを切り張りしてロゴとテキストを個別に配置している場合は
NGなケースに該当しないかどうかを後で辿ることが難しいので、
データ作成した時点でロゴ使用箇所を事前にリスト化する事が大事だと思います。
② ロゴのデザイン差し替え漏れ
特に危ないのは、他班が作成したロゴデータを直接参照せず、
自分の班の階層に複製して、そこから参照しているワークフローで起こる可能性があるケースです。
このケースでは、ソースデータに問題があった際にデザイン差し替えをしたはずが適用されていなかった。
つまり、複製された古いデータを参照し続けていた という事態を引き起こすことで、
古いデザインが製品に誤って実装されてしまうリスクに波及する恐れがあります。
問題発覚が遅れやすい事例なので要注意です。

③ フォントをテキストデータとして残す
テクスチャ内に書き込んだテキストは可能な限り元のフォントを追跡できる状態として残す必要があります。
使用可能フォントであっても、後で別のフォントに差し替えなければならない可能性がある為です。
これは再現性の担保という意味では、商用フォントに限らず、内製フォントも同様です。
また、管理ページからソースデータを辿れるよう細かく記載しておくことも重要です。
例:
① Aさんが作成したテクスチャのテキストに誤字があった
↓
② Bさんのタスクで修正を行うことに
↓
③ ラスタライズされたレイヤーしかなく元のフォントが分からない (Aさんも覚えてない)
④ 商用素材の契約形態が変更された場合 (買い切り→サブスク)
とあるゲームに使用している商用素材Aの販売形態が以前は買い切りだったが、
そのゲームの続編タイトル開発を始めた段階でサブスクリプションに変更された場合、
続編タイトルでの使用頻度を鑑みて、コスパが悪いと判断されればバジェット節約の為に使用できなくなるケースもあります。
例:
① 前作タイトルでとあるテクスチャ(商用素材)を多用 → ② 続編では使用機会が少ないので再契約せず → ③ 使用不可
こういった前作で使えていたものが今作で使えなくなる。という状況はライセンス条件によって起こり得ます。
社内で代替テクスチャを作成する。または別表現に差し替えるなどの対処コストが発生します。
⑤ 実在の俳優が登場するゲームの場合
その人物のパブリックイメージ(世間での印象,評判)を損なう表現に一層気を配る必要があります。
プレイアブルなキャラクターの場合、ユーザーが何をさせるか予測できないので映画やドラマよりもコントロールが難しくなります。
例:
① ゲームの主要キャラクターとして実在の俳優を登場させる
↓
② 俳優との契約で禁止されている行為をゲーム内で行わせてしまう (犯罪/政治的発言 など)
↓
③ 契約違反
⑥ 汎用的な文言の場合
高圧注意(DangerHighVoltage)や路面の注意書き(KEEP CLEAR)といった注意喚起に用いられる一般的な文言は
デザイン性が無いものと見なされ、権利上の問題は発生しづらいと判断されがちですが、
実際はロゴやグラフィックと組み合わせたレイアウト全体で判断する必要があります。
各プロジェクトのルールに従うのが安全です。

以上、思いつく限り羅列してみました。
ゲーム業界で長く働いている方は、権利関係の事故を1度は目にしたことがあるのではないでしょうか?
まとめ
大手ゲーム会社のタイトルであっても、
コンセプトアートやプロモーション素材に使用した画像について問題視されるケースがあります。
誤った自己判断によってチーム全体に被害を与えないためにも、
”権利物について分からないものは自己判断せず、
またデザイン完成後ではなく、データ作成段階から適切に管理する” ことが重要だと私は考えます。
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