好きなプロレスラーはジ・アンダーテイカーとレイ・ミステリオjr.!
どうも、クリーク・アンド・リバー社 COYOTE 3DCG STUDIO モーションチームの濱川です。
2021年一発目はちょっと初心に立ち返ってみようかと思います。
なので今回のテーマは『パンチ』!
■みんなができるアクションは、むしろ難しい
シンプルに『殴る』といっても、これがなかなか難しい。
歩きモーションや走りモーションと同様で、『無意識的(感覚的)にできる行動』ほど粗が見えやすく、また言語化も難しいので他人へのフィードバックも容易ではなかったり…
また、これは実際にスポーツや武道を経験されている方に多い落とし穴なのですが、モーションとして作らなければならないのは『実際にダメージが出る実用的な技』ではなく『アクションとして画面映えする技』または『見た目だけでどういうダメージを与えたのか一発で理解できる説得力の高い技』を目指して作らなければなりません。
■まずは基本
まずは構えとスタンスから…やってたらいつまで書いても終わりませんね。
今回はインパクト周辺に的を絞って行きましょう!
大事なポイントは2箇所、殴る直前と殴った後の余韻です。
…いやもちろん攻撃がヒットする瞬間のポーズも大事ですよ?でもそれと同じか、もしくはそれ以上に大事にしてほしいのが上記2点だと個人的には思うのです。
なので、今回は殴る直前(タメ)/殴る瞬間(インパクト)/殴った後(フォロースルー)の3つに分解して解説してみようと思います。
■タメ
一口に『タメ』とは言いますが、『パワーを溜める』とか『エネルギーをチャージする』という意味ではございません。
いわゆるアニメーション用語としての『タメ』なので、ポーズとしては溜めたエネルギーを放出する準備のポーズというイメージですかね。
実際の格闘技や武道だと、技の『起こり』と言われている部分で、実用性を突き詰めるほどこの部分を相手に悟らせないよう修行を重ねるものですが、創作で同じことをやってしまうと現実と同様に『いま何をやったのかわからなかった』、『あっさりしすぎて強そうに(痛そうに)みえない』などという結果に陥ってしまいます。
映像的な演出やエフェクトの効果に頼って表現してしまうこともできなくはないですが、やはりモーションデザイナーとしては動きだけで表現したいですよね。
注意したいポイントは放つ予定のエネルギー量と、エネルギーを放出する方向の説得力を意識するようにしてください。
弓を引くようなイメージでポーズを作っていくといいかもしれませんね。
攻撃に移る際は先述した弓や、またはバネ、ゴムなど張力を開放するイメージで、パッツパツの爆発寸前なポーズを作っていきましょう。
■インパクト
まさしく技がヒットする瞬間のポーズですね。
衝撃の強さは技によりけりですが、他の物体に激しく衝突する瞬間なので、その衝撃に負けないようなポーズ作りを意識してみましょう。
もちろん、一番パワフルなポーズにするのも忘れないようにしてくださいね。
先述のタメポーズで示唆した『攻撃の方向性』を裏切らないように注意するのも重要です。
■フォロースルー
技が終わった直後の余韻を表現するポーズです。
スローモーションなどの映像的な演出でもない限り、どうしてもインパクトのポーズは一瞬で過ぎ去ってしまいますし、タメもタップリ尺を確保できる…とは言い難い箇所です。
なので、『どういう技だったか』という説明をする上で一番重要なのはこのフォロースルーの時間帯なのです。
さて、ここで思い出していただきたいのが『タメ』の項で説明した放出するエネルギー量とエネルギーを放出する方向です。
この2点を表現できれば、どれだけダイナミックに動いても『いまのはこういう技を、これぐらいの強さで放ったんだよ』という解説ができます。
他にも威力表現の手法として、スローモーション演出を利用したり、ブルース・リーよろしく拳を小さく震わせて放出しきれなかった余剰エネルギーが体内でくすぶっている表現なんかも効果的かもしれませんね。
■アレンジパターン
いま説明したストレートパンチを軸にアレンジをしていけば、様々なパンチに応用できます。
■さいごに
限定的な部分を駆け足で解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
ほんのわずかでもお役に立てれば幸いです。
それではまた次回お会いしましょう!!