戦国時代で光で思い浮かぶ人物というと天草四郎時貞。どうも、クリーク・アンド・リバー社 COYOTE CG STUDIO テクニカルチーム 戦国大好き人間の中林です。
8/25(木)に弊社イベントで『Artists Meets Technicals 2022 Online supported by TA Night』が行われました。
今回のブログはこの時に僕がLightning Talks『ライティングとテクニカルアーティスト:質問編』で実施したアンケート結果の紹介と改めて感じたライティングとテクニカルアーティスト(以下、TA)の関係についての感想をまとめます。
ライティングとテクニカルアーティスト:質問編の概要
個人的にTAの募集要項にライティングと書かれることをよく見かけるけど、そもそもライティングとTAがマッチングをしているのだろうか、と思う機会がありました。
ちょうど、そんな時にオンラインでTAが多く集まる懇親会があったので、多くのTAの意見を直接聞けると思い登壇させて貰いました。
ライティングとテクニカルアーティスト(※こちらは、登壇で使用したスライドです。)
登壇後のTAの皆さんの反応は僕が思っていた以上に好評で、会話やチャット欄に様々な意見をいただきました。
そして、ライティングはTAだけの問題では無いと感じ始めました。
想いは後にして、先ずはアンケートの発表です。
アンケートは「TA向けのアンケート」「TA以外向けのアンケート」二本立てで実施しました。
TA向けのアンケート結果
まずは「TA向けのアンケート」についてです。
今回はTA向けに2問ほど用意しました。当日の有効投票結果20人とCOYOTEスタジオ所属TA17人の計37人の回答まとめて発表します。
投票してくれたTAの皆さんありがとうございます。
僕の予想よりもライティングの仕事ができると答えたTAが多いと思いました。
それでも、4人面接をして1人いるかもという割合なのでもの凄く多いわけではないです。
TA同士でもライティングをできると認識できる人は少ないですね。
ちなみに、講演中のチャットではバイネームで2人の有名なライティングのできるTAの名前が挙がってました。
1人or2人を選択した人の多くはこの2人の知り合いの可能性が高いです。
『逆説的に個人名が出るくらいに少ない』という意見もありました。
1回答だけ10人以上と答えた人がいました。是非ともどこの業界の人か知りたかったです。
TA以外向けのアンケート結果
次に「TA以外向けのアンケート」についてです。
あなたの所属しているチームもしくは会社でライティング系のテクニカルアーティストを募集したことはありますか?
はい 1
いいえ 22
その募集から何名採用できましたか?
0人
なぜ、ライティングアーティストやライト経験のある背景アーティストなどではなく、「テクニカルアーティスト」で募集しようとお考えになられたのですか?
自由回答
ライティング自体がテクニカルな業務なため。
様々なシステムやパラメーター、負荷計算などもあり得る。
場合によってはテクスチャにベイクするなどの手法もあって、選択肢が豊富。
あなた(および所属組織)が「テクニカルアーティストに求めるライティング」とは、以下のどれが最も比重が高いですか?
✖最終ルックを含めた全体的なゲーム画面の調整
〇UnityやUE4などにおけるライトの大量のパラメータから、ルックに近づけるためのアドバイス
✖ライトの複雑なパラメータから、必要部分をピックアップして同時調整する専用ライティングツールの作成
1回答だけどライティングでTAに求める意見が書かれていて貴重でした。
投稿ありがとうございます。
アンケートのまとめ
単純にアンケート結果だけで見ると、僕個人の感想ではTAとライティングとの業務マッチングは現時点では難しいと思います。
ただし、マッチングをしないからとTAに対してライティングを相談してきた人達に諦めてくださいというのは間違いだと感じます。相談があった時に正しく導けるように、普段からTAとライティングの付き合い方について考えておくことが重要だと感じました。
アンケート以外にも、当日のチャットや直接聞いた話などで面白い話があったので軽くまとめたいと思います。
海外やアニメではライティング専門家が確立してる
実はこっそりはLightning Talksの時のタイトルとブログのタイトルを少し変えてます。それはタイトルに「日本ゲームの」一文を加えています。
理由は海外のゲームでは『Lighting Artist』という専門家がおり、2019年に催された「ゲームクリエイターズカンファレンス’19」でもライティングアーティストについて言及されています。 (https://cgworld.jp/feature/201905-gcc02-codww2.html)
もう少し遡ってみると、デジタルアーティストとして著名な北田栄二さんのブログでも、2011年ころの記事でライティングアーティストについて言及されていました。(http://eijikitada.blogspot.com/2011/09/)
ライティングとは異なりますが、日本でもアニメ業界ではコンポジット作業と最後に色合いを調整する作業があります。これは最終的なルックを決める部分ではゲーム業界がライティングに求めている内容とも言えます。
日本のゲーム業界でも最近は『ライティングアーティスト』の仕事枠は増えていますが、まだまだ知名度が低いです。
実は日本のゲーム業界はライティング部分が遅れているのかもしれません。 その危機感を反映して一文を加えました。
TAとライティングアーティストの関わり
では、このライティングアーティスト=TAなのか。答えは難しいです。
ライティングアーティストになれるTAはいます。ただし、全てのTAがライティングアーティストになれるわけではありません。
良くあるこんな感じの相関図になります。
アンケートの結果を考えると紫の部分は4人に1人いるかくらいの割合かもしれません。
ライティングには以下の2つの要素がありそうという意見もいただきました。
① 見た目の調整
② 環境構築
①がライティングアーティストの寄りの仕事、②がTA寄りの仕事なのかもしれません。
また、①はゲームの最後まで関わる仕事で、できればゲームのマスターアップの1時間前までこだわりたい仕事。
逆に②はゲームの初期の立ち上げや量産機までに仕様を決めたり、効率化のツールを作るのがメインの仕事。
このように考えると、①と②で求める要素が全く異なることに気づきました。
ライティングを求める人も対応する人も、1人で抱えこむ仕事ではなく、複数の人間で手分けをする作業と認識しないと手詰まりになりそうです。
まとめ
今回は、あえてまとめないことにしました。
最初は思い付きでTAの皆様にライティングの事を聞きましたが、ライティングという作業そのものを根本的に考え直すきっかけになりました。
そして、これは僕がここで1人で結論を出せるほど浅いテーマでは無いと感じました。
今後も機会があれば、弊社のTA Night運営スタッフ陣と協力してライティングについて皆と話せる機会などを用意して、継続調査をしたいです。
また、TAの職業枠に捕らわれずにライティングにふさわしい職種が無いかも調べていきたいです。
どこかでライティングとTAの話す機会があれば、熱く語り合いましょう!!