こんにちは!COYOTE所属アニメーターの利根です。
現在、株式会社モーションアクター様とともに、「3D動かさNight」第2回の開催に向けて企画を進めています!
そこで今回は、第2回の開催に先立ち、2025年8月29日に開催した第1回イベント「3D動かさNight モーションアクターが語る・動く・魅せる!」の内容を振り返ります。
第1回では、モーションアクターによる実演や、参加者が実際に身体を動かすワークを実施しました。身体の使い方を体験しながら、キャラクターらしい動きや身体表現について考える参加型の内容です。
当日は株式会社モーションアクター様にご協力いただき、杉口秀樹さん(@jagar001)、金子起也さん(@cherrydarkness_)、Maoさん(@Mao_motionactor)を講師に迎えました。
本記事では、当日の実演や参加型ワークを振り返りながら、モーション制作に活かせる身体の使い方や、キャラクターの動きを考えるポイントを紹介します。写真とともに、会場の様子も感じていただけたら嬉しいです。
モーション制作に活かせる身体の使い方や、キャラクターらしい動きの考え方を、当日の実演写真とともに紹介します。

実演で学ぶ、力の拮抗と踏ん張りの表現
動きで力を伝えるポイント
力の強さを表現するには、実際に大きな力を出すだけでなく、肘の曲げ方や身体の縮め方、重心と支点の位置関係も重要です。
前半では、事前に寄せられた質問や当日の参加者からの質問に、モーションアクターの皆さんが実演を交えて回答しました。
「つばぜり合いのように、拮抗する力をどう表現するか」という質問では、踏ん張りや必死さを動きで伝えるための身体の使い方が紹介されました。
杉口さんによると、頑張っている様子や押し返されている印象を伝えたい場合は、あえて肘を曲げることがポイントだそうです。実際に力を加えるだけなら腕を伸ばしたほうが有効ですが、肘を曲げて身体を縮めることで、踏ん張っている様子が視覚的に伝わりやすくなります。
壁を押す実演では、「重心から支点へ向かう線の角度が強いほど、より大きな力で押せる」という考え方も紹介されました。重心と支点の位置関係を意識することで、力の方向や動きの説得力を考えやすくなります。
上半身と下半身をどう使い分けるか、どこに力が入っているように見せるか。同じ「押す」という動きでも、身体の使い方によって伝わる印象が変わることを、実演を通して確認できました。
実際の力の出し方と、観客に力強く見える動きは、必ずしも同じではありません。この違いを意識すると、モーションにもさらに説得力が加わりそうです。

身体を動かして学ぶ、ダメージリアクションの仕組み
ダメージを伝えるポイント
攻撃を受けた部位から動き始め、ほかの部位が少し遅れてついてくることで、リアクションに説得力が生まれます。
続いて、CEDEC 2024のライトニングセッションでも紹介された「ダメージリアクション体験」を、参加者全員で実践しました。
参加者は2人1組になり、パンチやアッパーの動きに合わせて、相手が攻撃を受けたリアクションを取ります。会場で初めて顔を合わせた方同士も、動きや力加減を確認しながら体験に取り組みました。
実演と解説では、ダメージリアクションに説得力を持たせるポイントとして、主に次の3つが紹介されました。
攻撃を受けた位置によって、身体が動く方向を変える
顔の上部に当たった場合は大きくのけぞり、下部に当たった場合は顎を引きながら後ろへ流れるなど、当たった位置によって反応が変わります。
攻撃を受けた部位に合わせて、身体の崩れ方を変える
肩、胴体、脚では、それぞれ力を受けたときの身体の反応が異なります。足払いでは、腰が落ちる動きを加えることで、バランスを崩した様子が伝わりやすくなります。
当たった部位から動き始め、ほかの部位を少し遅らせる
身体全体を同時に動かすのではなく、攻撃を受けた場所を起点に動きを波及させることが、自然なリアクションにつながります。
実際に身体を動かしてみると、特に難しいのが、部位ごとに動き始めるタイミングをずらすことでした。
参加者同士で動きを確認すると、ほんの少しタイミングを変えるだけでも、リアクションの見え方が変わります。実際に身体を動かしたことで、この時間差の難しさと大切さをより具体的に感じられました。

即興演技から学ぶ、キャラクターらしい動きの組み立て方
キャラクター性を動きで表現するポイント
年齢や役割などの設定を、姿勢や重心、移動速度、武器の扱い方に反映することで、キャラクターらしさが伝わりやすくなります。
キャラクター設定とモーションを組み合わせ、即興で演じるアクティビティも行いました。
年齢、モーション、職業、性別が書かれたカードをランダムに引き、その組み合わせに沿って動きを考えます。今回のお題は、「70歳女性魔王の物理攻撃」でした。
杉口さんは、背中を丸めて重心を低く保ち、ゆっくりと移動。年齢を感じさせながらも、落ち着きのあるキャラクターを表現していました。
武器の扱い方にも工夫が見られます。一般的な剣術のように構えるのではなく、下からすくい上げる動きや、肩に担ぐ仕草を取り入れていました。年齢と、ただ者ではない存在感の両方が伝わります。
さらに、ふらつきを交えながら接近することで、攻撃の軌道やタイミングを予測しにくくしていました。単に動きを遅くするのではなく、姿勢や移動、武器の扱い方を組み合わせてキャラクター性を表現しています。
攻撃後も、演技は続きます。セリフを発し、腰に手を当てながら、ゆっくりと元の位置へ戻るところまで演じていました。
姿勢や歩き方、武器の扱い方だけでなく、攻撃後の振る舞いにもキャラクターらしさが表れています。もし同じお題を引いたら、皆さんならどのような動きを考えるでしょうか?

参加者のディレクションでつくる、ストーリー付き絵コンテ
後半は、参加者の中からディレクター兼カメラマンを1名募り、ストーリー付きの絵コンテを制作するコーナーから始まりました。
参加者がシーンの内容や見せ方を考え、モーションアクターの実演を撮影。その写真を並べながら、一連のストーリーを絵コンテとして組み立てていきます。
モーションアクターの身体表現を間近で確認しながら、演技の方向性やカメラ位置を考えられる実践的な内容です。
ここからは、当日撮影した写真の一部をご紹介します。

刀を携え走る女性の背中 その奥には刀を携えた男性

気配に気づき振り返る男性

刀を抜き、向かい合う2人

そのとき…!女性の斬撃を避けた男性が反撃!

男性の剣をはじき、女性が一太刀

態勢を崩し

倒れる男性

男性へひとつ拝み

去っていく女性
実際にはセリフを交えた演技でしたが、写真からも登場人物の関係性や場面の流れが伝わります。
演技とカメラ位置の両方から、ストーリーを組み立てる体験となりました。
参加者のお題から生まれる即興アクション
即興演技のポイント
キャラクターの役割や身体的な特徴を動きに反映しながら、前後の展開や登場人物同士の関係を組み立てていきます。
後半では、参加者から募ったお題をもとに、モーションアクターの皆さんがストーリーと動きを即興で組み立てました。
登場人物の役割や動きについて意見を交わすうちに、短いアクションシーンが少しずつ形になっていきます。
「迫りくるワニとの攻防」を即興で演じる

最初のお題は、「迫りくるワニとの攻防」です。
杉口さんと金子さんがワニ役、Maoさんが主人公役を担当。「どう襲うか」「どう避けるか」とアイデアを出し合いながら、アクションと物語の流れを考えていきます。
ワニ役の2人は、地面に手をついた四足歩行で主人公へ接近。そこから尻尾攻撃、飛びつき、噛みつき、ローリング攻撃へと展開します。ワニの身体や攻撃方法を意識した動きが加わるたびに、シーンの状況も少しずつ具体的になっていきました。
主人公役のMaoさんは、ステップを使って攻撃を回避。一度ダメージを受けて体勢を立て直すなど、アクションの中に芝居を加えていました。
最後は、攻撃をかわした隙に拳銃でワニを倒す展開へ。さらに、倒したワニから素材を回収して立ち去るという結末も加わり、短いシーンの中に一連のストーリーが生まれました。
最後に、倒したワニから素材を回収して立ち去るというオチを加えるところには、アクターの皆さんのユーモアが感じられます。即興ならではの展開に、会場からも自然と笑いが起こりました。
「アイドルヒーロー vs モンスター」の特撮アクション

続いてのお題は、「アイドルヒーローとモンスターの戦い」です。
ライブ中に現れるモンスターを金子さん、アイドルを守ろうとする警備員を杉口さん、変身して戦うアイドルヒーローをMaoさんが演じます。
演技を進める中では、「このままではヒーローが負けてしまう」と展開を調整する場面も。即興で動きを作るだけでなく、登場人物の関係や物語の流れも同時に整理していきます。
中でも目を引いたのが、金子さんが演じるモンスターの動きです。重心を低く保ち、ゆっくりと間を取りながら接近。視線や姿勢も組み合わせることで、モンスターの大きさや存在感を表現していました。
攻撃を受けた際には、身体の崩れ方や倒れる瞬間の動きによって、ヒーローの攻撃による衝撃を表現します。
変身後は杉口さんがヒーロー役を引き継ぎ、ライダーキックや、剣を逆手に持った連撃、横回転による回避などを実演。ゲームや特撮で見られる動きが加わり、アクションも次々と展開していきます。
最後は、ヒーローがモンスターに背を向けたあとに爆発が起こる、特撮を意識した締めとなりました。
役割に合った動きが重なることで、即興でもシーンの世界観が自然と見えてきます。次の展開を相談しながら物語が形になっていく過程も、このコーナーならではの見どころです。
まとめ
「3D動かさNight モーションアクターが語る・動く・魅せる!」では、実演を見るだけでなく、参加者自身も身体を動かしながら、さまざまな身体表現に触れました。
つばぜり合いのような力の拮抗から、ダメージリアクション、設定に沿った即興演技、参加者のお題をもとにしたアクションまで。扱うテーマは異なりますが、どのコーナーにも、動きからキャラクターや物語を伝えるための工夫が詰まっています。
特に印象に残ったのは、モーションアクターが単に動きを再現するのではなく、キャラクターの背景や感情、場面の状況まで身体で表現していることです。
姿勢や重心、動きの速さ、相手との距離、攻撃を受けた後の反応。こうした細かな要素を組み合わせるからこそ、キャラクターらしい動きや、ストーリーを感じさせる演技につながるのではないでしょうか。
今回の体験を通して、普段何気なく見ているアクションも、これまでとは少し違った視点で見られそうです。
ご登壇いただいた杉口秀樹さん、金子起也さん、Maoさん、そしてご参加いただいた皆さま、本当にありがとうございました!
身体を動かしながら学べる「3D動かさNight」。第2回ではどのような内容をお届けできるのか、ぜひ楽しみにしていてください!
登壇者

株式会社モーションアクター
代表取締役
杉口 秀樹氏
スタントマン、モーションアクターとして様々な映画やゲームに出演。
ハリウッドよりXMA・トリッキングを伝え、仮面ライダーウィザードを担当。
2020年(株)モーションアクター設立。ディレクター・アクターとして最前線で活躍。

株式会社モーションアクター
アクション事業部ディレクター
金子 起也氏
器械体操、レスリング、総合格闘技を経てRED ACTION CLUBに加入。
仮面ライダー鎧武のシグルドを始め、多くの特撮作品やアクション映画に出演。
モーションアクター、アクション監督、アクションコーディネーターとして活躍中。

株式会社モーションアクター
ダンス事業部ディレクター
Mao氏
ダンス界で全国大会優勝、世界大会二連覇などの成績を残す。
海外留学を経てワールドワイドなダンスを習得し、オリジナリティ溢れる振付もこなす。
お芝居、アクション、あらゆるキャラクターに対応するマルチモーションアクター。
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