こんにちは。COYOTE 3DCG STUDIO所属のアニメーター、松尾 です。
今回も、アニメーションを作成する上での基礎の1つ「グラフ(カーブ)」について説明したいと思います。
今回の内容は、3Dアニメに限らず、2Dアニメや動画編集などでも活かせる共通した基本の内容ですので、お役に立てれば幸いです。
グラフ(カーブ)とは?
以前、Mayaの基礎でも紹介しました、「グラフディタ」において可視化されたキーフレームの事です。
横軸(X軸)が時間軸、縦軸(Y軸)がその属性の値を示します。
選択したコントローラーが持っているキーの情報が、カーブとして確認できます。

今回は、このカーブの形がどのようにアニメーションに作用するかを簡単に説明してみたいと思います。
いろんなカーブの種類と特徴
代表的でわかりやすいカーブの形、種類をいくつか説明したいと思います。
1.等速


等速のグラフの特徴
グラフのカーブが直線になり、Y軸(値の変化)とX軸(時間)の関係が一定になるので、速度が変わらない。
始まりから終わりまで同じスピードで動き続けるので、加速・原則が無い状態です。
緩急がなく機械的な動きの印象ですね。
2.接線がフラット


フラットな接線の特徴
始点と終点のカーブの角度がフラットになっています。
キーを打った時、デフォルトではだいたいこの形になっていますね。キーのハンドルがフラットな状態。
動きの始まりと終わりが特になめらかで安定した印象になります。
3.加速


加速するグラフの特徴
動き出し(初速)がゆっくりで、徐々に速くなる補間のグラフです。
最初はカーブが平坦なため、速度は遅く、終盤は角度が大きく変わるため、加速します。
4.減速


減速するグラフの特徴
初速が早く、徐々にゆっくりになる補間のグラフです。
最初はカーブの角度が大きいため、速度が速く、終盤につれてカーブが平たんになるので、減速します。
5.ステップ


特殊ですが、カーブの形状が直角になり、補間が無いため、「パッ」と一瞬で変わる動きになります。
アニメーションの動きが「カクッ」と瞬間的に変わるので、カットが変わる時やスナップ的な動きに適しています。
ブロッキングやリミテッドアニメーションなどに用いられます。
基本的なカーブの種類のまとめ
基本的な動きを5つ説明してみました。
これらのカーブの形が複雑に複合する事によって、アニメーションは作られます。
カーブの描き方については、キーを打って形作ったり、接線の向きの調整で形作ったりします。
人物や物質の動きを見て、頭の中で「どんなカーブになるかな?」というのが瞬時に思い描けるようになると、
実際にアニメーションを作成する時もすばやく理想のアニメーションが作れるかなと思います。
カーブの違いであたえる印象
簡単なアニメーションをサクッっと用意してみました。
前述しました通り、キーのタイミングやカーブの角度で与える印象をコントロールすることができます。


こちらのアニメーションはバウンドする高さが小さく、回数も少ないので、「重い」印象を受けます
あと素材的には布みたいな素材してそうですよね。


こちらのアニメーションは、バウンドする高さを高くし、回数も増やしています。
こっちの方が、素材が「硬そう」かつ「軽そう」に感じると思います。
木製の素材のように感じませんか?
同じグラフィックでも、カーブの調整だけで素材の違いを感じれるほど与える印象が違いますよね。
まとめ
アニメーションにおける「グラフ(カーブ)」の形は、動きの印象そのものに直結します。
等速、加速、減速、ステップといった基本のカーブを理解し使い分けることで、動きに説得力やさらには感情を込めることができます。
アニメーションは単なる位置の移動ではなく、時間と動きのリズムをデザインする作業です。
実際の動きを観察して、「この動きはどんなカーブになるかな?」と想像してみるとさらにアニメーションの見方も変わってくるかなと思います。